絶対絶命!残業代の願い星、地獄星
今日も一日こきつかわれて帰社すると、何故か机の周りが荒らされている。
しまってあった資料なんか無造作に積んである。
……またか。
モルボルには探し物があると人の断りも無く勝手に人の荷物を漁るという、非常に悪い癖がある。
今回のがさ入れでは目的の物が見つかったのかどうかは定かではないが、大概がさ入れが行われると――――
「ちょっと来い」
ほーら、来ましたお呼び出し。
ハイハイ、あんたの言いたいように人格否定なりなんなりするがいいですよ、もう慣れましたから。
今日は何ですか?
「お前…確か手帳を持ち歩いていたよな?それを見せろ」
”!!!”
まずい。
これはまずい。
凄く…ベリッシモ(とても)まずい。
ディ・モールト(非常に)ディ・モールト(非常に)まずい。
あたしは手帳にいずれ未払いの残業代をふんだくる為に毎日毎日何時間サービス残業をさせられたかをコツコツ記入しているのだが、それが直属の上司に見られると全ての目論見が露見してしまう。
更にたまに「殺す」とか書いてあったりするので(勿論意思の対象は言うまでも無い)そんなモンまで見られたら、全てが終わってしまう。
英語で言うとTHE ENDだ。
”いやーちょっとバラバラになっちゃうんで…”
「つべこべ言わずに俺が出せって言ってんだから出せや!」
うわぁ。
何このチンピラ。
そこで”持ち歩いてません”と言い切れないあたしもあたしだが、お前の喋り方はカツアゲをするDQNそのものだ。
流石入院している老女が保証人だからという理由で金を取り立てに行ったという逸話を持っているだけはある。
仕方がないので、しぶしぶ手帳を差し出すあたし。
それを取り上げペラペラとページをめくるモルボル。
案の定毎日書き込まれた時間に気付き、一言。
「お前、これは一体何だ?」
こうなったらもう言いワケは出来ないと観念したあたしは言いました。
”毎日の勤務時間を記録しています”
「…………」
\(^o^)/オワタ
カテゴリ : 日記