地獄から来た宇宙忍者
アンチャンは激怒した。必ずかの邪智暴虐の宇宙忍者サンブラーダーを除かなければならぬと決意した。

アンチャンにはメタルがわからぬ。本を読み、陰キャとして暮らして来た。
けれども音楽に対しては、幼少期ピアノを弾いていたせいか、人一倍に敏感であった。
先日アンチャンはツイッターでTLを眺めていた。アンチャンは医療職だから通勤自粛宣言も関係ない。
アンチャンはそれ故、通勤時間の暇つぶしにツイッターを眺めていたのだ。
アンチャンにはフォローがあった。久しく絡まなかったから、絡むのが楽しみである。
TLを眺めている内にアンチャンは、彼の様子をおかしく思った。
TLにいる若い衆を捕まえて、何があったのかと質問した。
若い衆は首を振って答えなかった。
しばらくして別のフォローに逢い、今度はもっと語勢を強くして質問した。
「邪悪な忍者の一族『サンブラーダー』とドラゴンの神『リングロング』が手を組み、世界を征服した。さあ、手裏剣を手に取り、アストラルレーザーシャークに飛び乗れ! !」
「驚いた。お前は乱心しているのか」
「いいえ、乱心ではございませぬ。宇宙忍者サンブラーダーが地獄から来たのです」
「呆れたバンドだ、聴いてみよう」
アンチャンは単純な男であった。たちまちアマゾンでMP3をダウンロードし日本古代史の真実をジャーマンメタルから知った――
カテゴリ : 日記